b-21 raider

【B-21レイダー】次世代ステルス爆撃機が初公開!

B-21 レイダー / B-21 Raider


【アメリカ空軍 / 2022.12.2】

アメリカ軍の新しい爆撃機「B-21 Raider」34年ぶり新型機は1機1,000億円
世界初の第 6 世代航空機となる新型ステルス爆撃機とは?


B-21 レイダー
Photo by USAF

12月2日、アメリカ空軍は世界初の第 6 世代航空機となる新型ステルス爆撃機B-21 レイダーの除幕式を行い、その姿を初めて公開しました。

30年以上ぶりとなるアメリカ軍の新しい爆撃機「B-21 Raider」

数年後に就役予定となっているこの戦略爆撃機は、ロシアや中国との緊張が高まる中、米軍における核トライアドの最新アップグレードとなりました。

核トライアド(3本柱)

有人爆撃機 → B-52 Hストラトフォートレス, B-2 スピリット, 次世代爆撃機「B-21レイダー」
大陸間弾道ミサイル(ICBM)→ LGM-30Gミニットマン III 
弾道ミサイル搭載原子力潜水艦隊 (SSBN)→ トライデント II D-5 潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)

新型爆撃機が一般公開されるのは、1988年以来のことです。

B-21 レイダー爆撃機

除幕式:カリフォルニア州パームデール空軍施設

除幕式の様子はオンラインでも配信され大きな注目を集めた

長年、極秘で開発を行ってきたB-21 レイダーですが、最新技術を詰め込んだこの機体は機密扱いのため、現在も詳細は明らかにされていません。


式典来場者も機体から数十メートル離れた指定の角度からしか見ることができず、カメラマンさえ、撮影アングルを厳しく管理され、全体の形状も不明のままとなっています。

式典では現在運用中の爆撃機「B-52ストラトフォートレス 」「B-1ランサー 」「B-2スピリット」の飛行シーンが映し出され、その後、B-21 raiderが登場。

真正面からのみの公開となりましたが、B-2 Spiritよりも小型だと推測されています。

「これは単なる航空機ではない。B-21は、私たちにとって大切な共和国を守るというアメリカの決意を形にしたものだ。50年にもわたるステルス技術の結果を全て注ぎ込んだ。どれほど最新の防空システムであろうと、上空で B-21を検出するのは難しいだろう」-オースティン国防長官

新型爆撃機 B-21 レイダーとは?

開発:ノースロップ・グラマン

B-21 レイダーはアメリカ空軍で開発が進められてきた第6世代の航空機、最新鋭ステルス爆撃機です。

空軍では老朽化した爆撃機を置き換える計画を進めており、このB-21 レイダーが開発されました。

核兵器、通常兵器、両方を搭載でき、通常兵器による攻撃任務に加え、目にみえる核抑止力としても機能します。

B-21 レイダーは長距離飛行能力と高い生存能力を持ち、攻撃任務だけではなく、偵察任務など柔軟性が高くなっています。


【画像】B-2 Spirit

B-2 spirit

外見は前身のB-2 スピリットによく似ており、全翼式のステルス形状です。

ステルス性を維持するためのコストなど含め、あまりに高額だったB-2 スピリットは、素晴らしい性能であったにもかかわらず、たった21機の生産で終わってしまいました。

B-21 レイダーでは低コストで運用できるよう様々な改善がされています。

Photo by U.S. Air Force


置き換え対象
・B-52 ストラトフォートレス(戦略爆撃機)
・B-1 ランサー(爆撃機)
・B-2 スピリット(ステルス戦略爆撃機)

サイズ

空軍は、生産スケジュールやエンジンの数など、B-21 レイダーの詳細をほとんど発表していないため、正確なサイズも不明です。

B-21 レイダーステルス爆撃機とB-2 スピリット爆撃機
Photo by USA Military News

推測サイズ:翼幅 46m

式典の映像から、B-2 スピリットの翼幅よりもおそらく 6-7mほど短いと考えられています。

エアインテーク(吸気口)

B-21 Raider
Photo by U.S. Air Force

かなり特徴的な細くて薄い吸気口の形状(エアインテーク)により、敵に探知されにくくなっています。

胴体


小型化によりペイロード能力はB-2 スピリットに比べ半分まで落ちてしまうと言われていますが、B-2 スピリットよりも深くて広いキールを持つため、ウェポンベイや燃料などの積載量に関してはまだなんとも言えません。
しかし小型になった分、ステルス性や機動力は大幅に向上しています。

着陸装置

B-21レイダー
Photo by USA Military News

 B-2 スピリットに比べ高い位置に着陸装置が設置され、その扉はB-2 スピリットのジグザグ形状からシンプルな形状に。
主脚はB-2 スピリットが4輪だったのに対し2輪へ。

フロントには台形の窓が二つ、側面には長細い窓が二つという変わったデザインになっています。

ステルス

継ぎ目や出っ張りは限界までなくし、滑らかに仕上げられた機体。
B-21 レイダーでは、B-2 スピリットで従来使われていたテープやコーキングを辞め、表面の凹凸をなめらかにしているそうです。
B-2 スピリットが夜間作戦に対応した暗めのグレーカラー塗装であったのに対し(ガンシップグレー)、B-21 レイダーは全体が明るいグレーとなっており、日中でのステルス性を高めるカラーになっています。(ライトコンパスゴーストグレー?)

先端

先端はフロントガラスから離れた位置にあり、以前より長く、平らになっています。

b-21 レイダー
Photo by USAF

コスト

機体価格は1機あたり6億9200万ドルと見られており(約930億円)アメリカ空軍では今後30年間で少なくとも100機は製造する計画です。
アメリカ空軍は最終的に200機近い数が必要だと見積もっています。

製造

現在、試験機となる6機が作られており、完成間近です。

就役

2020年代半ばに就役予定ですが、これから行われる地上試験の結果次第ということもあり正確な時期は未定です。

配備

今後、エドワーズ空軍基地で飛行試験などが行われ、その後、エルズワース空軍基地に初配備される計画です。

★配備予定基地
 ・エルズワース空軍基地(サウスダコタ州)主要作戦基地および正式訓練部隊の所在地
 ・ホワイトマン空軍基地(ミズーリ州)
 ・ダイス空軍基地(テキサス州)
★カリフォルニア州エドワーズ空軍基地 /試験場所
★オクラホマ州ティンカー空軍基地 / デポ

現在、空軍ではB-52 ストラトフォートレス、B-1 ランサー、B-2 スピリット、3機の 爆撃機を運用しています。

そのうちB-1 ランサーとB-2 スピリットは2030年代に退役を予定、B-52 ストラトフォートレスは2050年まで運用する予定です。

2030年代以降はステルス機B-21 レイダーと非ステルス機B-52 ストラトフォートレスの2機種で編成される計画です。

開発はノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)

世界的に優れたステルス技術を持った企業で、B-2 スピリットを開発、製造したのもこの企業です。

ノースロップ・グラマン開発機

・B-21 レイダー
 → 2023年初飛行予定
   2026~2027年実戦配備予定
・B-2 スピリット
 →1989年初飛行
  1997年運用開始

B-2 スピリット


1980年代に初飛行したこの航空機。

尾翼のない「全翼機」として設計された世界初にして唯一のステルス爆撃機です。

<B-2 スピリット性能>
・全長 21 m  ・全幅 52 m  ・全高 5.1 m  ・最大離陸自重 170 t  
・最大速度 1010 km/h  
・エンジン ジェネラルエレクトリック社製F118-GE-100  

特徴

・B-21の地上システムデータをクラウド環境に移行したデジタル爆撃機として設計。

・高いステルス性能はもちろん高度なネットワーク能力を有しています。

・爆撃機B1、B2と続き、B3になると考えられていましたが、21世紀に開発を始めた爆撃機という理由でB-21と名付けられました。

オープンアーキテクチャで構築されているため、変更が容易な上、これから登場するであろう新しい兵器との統合も容易となっています。

オープンアーキテクチャ
コンピューターや周辺機器のハードウエア・ソフトウエアに関する内部仕様や設計思想などが公開されていること

中国やロシアとの関係において緊張が高まる中、アメリカ軍を支える柱となることを目指して開発されたB-21 レイダー。

現在、アメリカの爆撃機部隊の中で、高度な最新防空システムを突破できるのは全体のわずか10% にすぎません。

B-21 レイダーは敵の防空システムを突破し、世界中のあらゆる場所のあらゆる目標に対し、高性能な長距離精密攻撃を行うことが可能です。

それだけではなく、偵察、電子攻撃、連携能力やネットワーキング機能などマルチに運用可能です。

b-21レイダー
Photo by USAF

性能

B-21 レイダーは、30 年以上にわたるステルス技術と兵器開発の集大成とも言える機体です。

次世代のステルス技術を使用しているため、高度なレーダーや防空システムにも検出されません。

B-2 スピリットでは、任務の合間に数百時間にも及ぶステルスコーティングのメンテナンスが必要でした。

B-21 レイダーは、従来使われてきた特殊テープをなくすことによって、毎日完全なステルスモードで、一日に何度も出撃が可能になっています。

【自律飛行】

有人でも無人でも飛行可能とされていますが、完全自律飛行は現実的ではないと言われています。

爆撃機はさまざまな理由で常にオペレーターを乗せる必要があります。

ましてや核兵器を搭載した状態の爆撃機を完全に無人にすることは少なくとも現段階ではなさそうです。

【アップグレード】

B-21では従来の定期的にシステムをアップグレードする「ブロック制」を受けません。

代わりに、ソフトウェアのアップグレードを通じて、新しい技術、機能、兵器をスムーズに組み込むことが可能となっています。

そのため変わりゆく新たな脅威に対し、今後数十年にわたって継続的に立ち向かうことができると考えられています。

大掛かりなブロックアップグレードのように機体をデポに送り返す必要もなく、運用現場でその都度行うことができ、新しいテクノロジーの実装スピードはこれまでと比較にならないほど速くなります。

例えばB-2にJASSM-ERを統合するのかかる時間や手間の1/10でB-21は統合可能だと言われています。

サブシステムの統合では、複雑で時間ばかりかかっていたF-35での反省を教訓にし、迅速な対応を実現しました。

B-21 レイダー
Photo by USAF

あらゆる防空システムを突破して、世界中のどこにでも精密攻撃を行うことができる次世代ステルス爆撃機「B-21 レイダー」

新たな空の主戦力として、未来の抑止力として、大きな期待を背負っています。

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