ALIAS / UH-60ブラックホーク

ブラックホーク無人化計画「ALIAS」

既存の有人機を無人化することが可能なプログラム「ALIAS」 / UH-60ブラックホーク

DARPAが進めるALIASプログラム

DARPA Aircrew Labor In-Cockpit Automation System (ALIAS) プログラム

ALIAS / UH-60ブラックホーク
Photo by Lockheed Martin

今年の2月、有人機であるブラックホーク(UH-60A Black Hawk)での無人飛行テストが初めて行われました。
この無人飛行ではDARPAが開発しているALIASシステムが使用されています。
このシステムのメインであるMATRIX™ という自立システムをブラックホークに後付けすることにより、既存の有人航空機を無人化することが可能になります。
常時無人で運用されるものではなく、あくまでもパイロットのサポート的な役割を目指しています。
視界が限られている状況、通信が困難な状況での飛行任務の際、自律飛行という形で支援します。
通常の無人ヘリコプターとの違いは、既存の有人航空機に後付けできるシステムだということです。
そして先月10 月にユマ試験場で行われた陸軍のデモンストレーションで、ブラック ホークをパイロットを乗せずにミッションを実行することに成功しました。

ALIAS / UH-60ブラックホーク
Photo by Lockheed Martin
3つのミッションに成功
★医療補給:220kgの医療品を搭載し130km無人飛行
★貨物運搬:1.2トンの貨物を吊り下げ30分無人飛行
★負傷者の避難: 貨物運搬中のミッション変更シミュレーション、負傷者を保護、リアルタイムでバイタルを地上に送信

このブラックホークでは、8時間交代制が考えられています。
8 時間はパイロットが航空機を操作し、その後、乗員が休んでいる間の 8 時間を無人飛行させ、残りの8時間は、メンテナンスという形です。
これまで異なる航空機でデモンストレーションが行われており14 種類の軍用機でテストされています。
パイロットは 使い慣れたタブレット、コンピュータを使用し航空機を操縦することができるため習得に時間もかかりません。
遠隔操作可能な一部の無人航空機とは異なり、このシステムでは基本的にオペレーターの介入は必要ありません。
完全自律システムのため、航空機にミッションを説明した後、センサーやカメラなどを使用し、自律的な離陸、ルート計画、着陸地点の選択、着陸を可能にします。
また、発生する可能性のある不測の事態や緊急事態に対処することが可能。
静止した障害物だけではなく、動きの速い障害物も回避出来ます。

f-16
Photo by U.S. Air Force


このシステムを搭載する機体について、プロジェクトメンバーはF-16戦闘機に注目。
飛行精度を向上させ、パイロットが兵器システムに集中している間、戦闘機の飛行を支援することが出来ると考えています。
空軍の司令官は、F-16 とF-35の中間に位置する4.5 世代戦闘機について積極的になっており、このシステムをがF-16 を含め別の第 4 世代に適用でき、第 5 世代戦闘機の強化としても使用できるのではないかと見ています。



さらにプロジェクトの実証テストの一部では、人間パイロットの副操縦士として航空機を操作するロボット アームを使用した実験が行われました。

ALIAS / UH-60ブラックホーク
Photo by Aurora Flight Sciences


この実験ではセスナ機で飛行させることに成功しています。
今後さらに7 種の航空機で、改良されたシステムを使用し実証していく計画です。

ALIAS / UH-60ブラックホーク
Photo by U.S. Army

最初から無人機として開発された機体は最新のシステムを組み合わせることで、今までにない戦術を構築することが出来ます。
しかし、遠隔操縦のため、地上からある程度コントロールする必要があり、無人機パイロットの負担は想像を絶するものだと言われています。
有人パイロットに比べ、飛行時間は何倍も長くなり、あまりの過酷さに、多くの無人機パイロットが不満を抱えているのが現状です。
ブラックホークで実証中のコックピットを自律・自動化させるシステムであれば、コストの低さに加え、パイロットの負担軽減という意味では最も適しているのではないかと期待されています。

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